七つ屋志のぶの宝石匣

こちらは二ノ宮知子先生の作品です。

二ノ宮先生は、「のだめカンタービレ」が特に有名ですね。こちらの作品は、「のだめカンタービレ」の案を編集者に見せた際に、一緒に持って行った案の一つだったようです。その時は、「のだめカンタービレ」が連載される事になったようです。

 

「七つ屋志のぶの宝石匣」を読んでみると、プロの作家先生に対して、大変失礼な言い方なのですが、とても話の運び方が上手な方で、その上、下調べを細かくする方なんだなと感心しました。

 

「のだめカンタービレ」を読んだ時も、音楽業界事情や音大の話など詳しい方だなと思いましたが、「七つ屋志のぶの宝石匣」でも同じような印象を受けました。きっと、二ノ宮先生の作品の作り方自体が、とても取材や下調べを大切にするやり方なのだという事なのでしょう。

 

漫画のタイトルにも書かれている七つ屋というのは、江戸時代に使われた、質屋さんの隠語のような物らしいです。ちなみに、櫛屋さんは、94を足して、十三屋と読んだりしていたようです。江戸っ子は、こうした言葉遊びが大好きで、江戸文化の名残を思わせる言葉には、随所にこうした傾向が見られます。

 

また、質屋ではなく、あえて「七つ屋」という呼び方を使う事が、舞台である質屋さんが「江戸時代から続く質屋」という設定とも絡んでいるのでしょうが、なによりも、主人公の志のぶちゃんのキャラクターにとても似合っていて、しっくりきます。私の志のぶちゃんには、「質屋」よりも「七つ屋」が似合うという感想は、この漫画を読んだ多くの方に賛同していただけると思います。

 

物語の主人公は、江戸時代から続く質屋、倉田屋の孫娘、志のぶちゃんです。

彼女には、生まれる前から祖父に決められていた許嫁がいます。相手は、由緒正しいお家の北上顕定君です。

 

この顕定君、実は幼い頃に「倉田屋」に質草として預けられます。この時点で、かなり、「ギャグですか?」と聞き返したくなる経緯ですが、漫画を読んでいると、顕定君を預けた北上のお祖母様は真剣な事、この上ない様子です。

 

質草を預かっている期間が3か月だと、志のぶちゃんのお爺ちゃんが伝えると、顕定君のお祖母ちゃんは、必死の表情で「そこを何とか3年で!」普通なら、この時点でヤバい事が起きていると察知する筈なのです。なにせ、顕定君が質流れしたら、完全に人身売買ですからね。

 

しかし、色々な思惑が交錯し、契約成立!この辺の下りは、細かくは書きませんが、読んでいて面白かったので、まだ、読んでいない方は、是非、お確かめください。

 

そして、時は流れ、顕定君は28歳の若者となり、いつしか倉田屋を出て、真後ろのアパートに引っ越しました。ちなみに、お迎えは、まだ来ていません。そう、顕定君は、見事に質流れしてしまいました。

 

 

彼が「倉田屋」に質入れされた時、まだ、倉田屋には孫娘は生まれていませんでしたが、その後、無事、生まれた志のぶちゃんが顕定君の許嫁となりました。

 

ちなみに、顕定君、28歳。志のぶちゃん、よく中学生に見間違われる高校生。

 

子供の質入れと言い、高校生と大人の許嫁と言い、すったもんだがあったにしろ、児童福祉法的な奴は大丈夫なんでしょうか。

 

…でも、いいんです。

「漫画」ですから。

 

…それに、おもしろいし。

 

以上の一言で、全ての問題は解決できたと思います。

 

 

顕定君は、自分の家族がどうなったのかを探る為に調べ始めます。それも、志のぶちゃんには内緒で…、勿論、この辺りは、志のぶちゃんの安全を第一に考えての行動なのでしょうが、志のぶちゃんとしては、許嫁とは言われていても、全てを話してくれない顕定君に、壁を作られたような疎外感を感じてしまう時もあります。この辺のすれ違い具合は、私のラブコメセンサー的には「あり」です。

 

「七つ屋志のぶの宝石匣」の見どころは、顕定君と志のぶちゃんの、異様に進みの遅いラブコメというのもありますが、同じくらい面白いのが、顕定君の職場である宝石店や、志のぶちゃんの実家である質屋さんでのお客さんとのやり取りや、宝石鑑定の知識です。勿論、色々な品物がある質屋さんの中で、宝石がクローズアップされる理由も、ストーリー的にはちゃんとあるのですが、その辺は読む方がご自身で確認される方が良いと思います。

 

さらに、この志のぶちゃんは、「宝石の気を見る」という特殊能力があり、時折、占い希望のお客さんが質屋さんに来てしまう程です。しかし、一方、顕定君は有名宝石店の外商(店外の顧客まわりの営業ってところでしょうか)、その知識量や鑑定眼は同僚の中でも群を抜いています。志のぶちゃんの感覚的な鑑定眼と、顕定君の知識と経験に裏打ちされた、精巧な時計のような鑑定眼。二つの視点から、宝石という物を通して、見えてくる色々な人間ドラマが、とても面白いです。

 

また、志のぶちゃんと顕定君の組み合わせが、タイプが違うだけに、やたらとぶつかります。これがいいんですよ。

 

お互いがお互いの事を認めて、心配もしているのに、素直には交わらない距離感。「のだめカンタービレ」の時も、千秋君とのだめの距離感が面白くて読み進んでしまましたが、その時の距離感とは、また違った、独特の距離感です。

二ノ宮知子先生は、こういう独特の距離感を作るのが上手い作家さんなのでしょうね。

 

「七つ屋志のぶの宝石匣」自体が、まだ完結していない作品なので、あ~だ、こ~だ言うのも憚られますが、私は、買って読んで、損したとは欠片も思いませんでした。ラストが楽しみです。

 

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漫画、映画、アニメ、ドラマ大好きです。
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