家畜人ヤプー

今回、読んだのは、原作は沼正三先生、画は江川達也先生、出版された家畜人ヤプーです。

「家畜人ヤプー」という作品自体は、とても有名な作品でして、何度か漫画化されております。

江川達也先生以外では、石ノ森章太郎先生とかが有名なのではないでしょうか。

 

ストーリとしては、日本人、瀬部鱗一郎と、ドイツ人クララ=フォン=コト=ヴィッツという一組の夫婦が、突然現れた宇宙船に乗り込み、西暦3970年の未来にタイムスリップするという話です。

 

物語の世界では、すでに女性革命なるものが太古の昔に起きていて、完全な女性優位社会。その上、白人だけが人権を持ち、黒人には半人権が与えられ、日本人(ヤプー)は知的家畜と位置づけられ、遺伝子操作、生体加工、徹底した精神教育などにより、食用、家具、娯楽用小人、便器、高性能性処理機などに作り変えられ、市場で売り買いされているという社会です。

 

ヤプーの中でも、特に知的レベルの高い物(厳密には確かIQ170以上だったと思う)は、高級品としてテレパシー能力を与えられ、主人の排便欲求や、性欲に反応して相手の欲求に応えられるように改造され、一方、特殊能力の代償として、高級ヤプーは個我や、自意識といったものを殆ど失う事になります。

 

しかし、IQ170以上のヤプーは、それを至高の喜びとして咽び泣くのです。なぜなら、白人の女性が最も崇高な神だとして、教育されるからです。

「うん、狂った世界だ!」と、つい膝を叩いてしまう世界です。

 

この漫画のいかれっぷりは、勢いを止める事はなく、例えば、ヤプー便器なるものは、生まれる前から体をいじくられ、片肺を切り取られます。理由は、少しでも、白人の便を体に取り込めるようにする為です。勿論、便が通る喉も、遺伝子操作で、予め、配水管のように長くうねるようにつくられます。

 

そして、七歳までに一般的な常識を終え、そこから、専門的な便器としての教育を受ける事になるのです。

 

ここで、便器になる為の教育というのが気になりますね。具体的な授業内容も書かれていたので、ちょっとだけご紹介いたします。

 

それ専用の、人造人間のような物を使い、どんな長い大便でも切らずに、全てを飲み込めるように訓練させられるそうです。便を飲み込む動機付けをばっちりで、便器用の福音書なるものを毎日読み聞かせられるようでして、その福音書の中には白女神(白人女性)は一日三回の恵と、十二回の好意を示してくれると書かれているとの事です。

 

つまりは、一日三回の排便と、小水の事ですね。(なかなか健康的なペースですね)

そして、これらは、神様からの贈り物なので、全て残さず食すよう教育されます。さらに、神様のお尻を何度も、舐めるのは失礼だから、一度で舐め取る練習もちゃんとします。そういうカリキュラムが組まれているようです。

 

ちなみに彼らの教育係は、数千年後の黒人、黒奴という事です。ちなみに、この世界では、黒人はヤプー(日本人)よりは、一つ上の階級の「半人間」という立場のようです。この辺の内容を見ても、よくも、まぁ、原作小説を出版しようと踏み切れたものだと、心の中から感心します。

 

話の流れをもう少し詳しく追うと、麟一郎が未来人の犬にかまれ毒が体に入ってしまい、その解毒剤を取るために遥か未来の白人世界の本拠地「惑星イース」に向かうという話なのですが、惑星イースに近づくにつれ、鱗一郎も少しづつ体に加工を施され、人間ではない「物」に改造されてゆきます。

 

そして、クララに助けを求める麟一郎ですが、イースの文化に触れるにつれ、次第に、クララ本人も、つい数時間前までは恋人として愛し合っていた鱗一郎を家畜としてみるようになってゆき、一方、鱗一郎も円盤の中に当たり前のように置いてある、尻の穴にノズルが差し込まれた女性用ダッチワイフだとか、人気ペット、ヤプー犬に対して妙な共感を覚えるようになってゆきます。

…そんな、二人の関係が変わってゆく過程が、淡々と、そして、残酷に描かれてゆきます。

 

原作も有名な本なので、原作小説についても、少しご紹介します。

原作は、「ドグラマグラ」と並んで戦後最大の奇書とも呼ばれているそうですが、私の印象としては、ドグラマグラと比べると内容的に大分違うのではないかとも思います。

 

ジャンルとしては、マゾ小説に分類される事も多いですが、歴史パロディという一面や、単に物語としてのディテールの細かさも、生理的な不快感を飲み込める人には面白いです。

 

原作は戦後間も無く、SM雑誌に連載されていたようですが、しつこい自主規制やら、物語の後半で描かれる日本の歴史を材料にした話で、右翼からもかなり叩かれ(そりゃ、そうでしょう)、その後、十年の連載を経て、結局は未完のまま断筆する事になったそうです。それでも五百ページの長編小説です。これだけの内容を、延々と500ページ書いている原作者も凄い精神力ですね。そして、その後、ヤプー完結品なるものが、出版されましたが、それも加筆され600ページの大作となったそうです。

 

作者の沼昭三先生の正体自体が、はっきりしておらず、自薦他薦を問わず、沼昭三正体説が流れた人自体が、元判事の倉田卓次、小説家の三島由紀夫、天野哲夫、澁澤龍彦、武田泰淳、日本歴史学者の会田雄次、文芸評論家の奥野健男と、そうそうたるメンバーが名前を連ねており、共同執筆説などもありますが、今となっては、真実を知る術もなく、ただ、作品とその歪な影響力だけが確実に残されている…、そんな作品と言えるかもしれません。


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